しーっ、静かに

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友人が森の奥で大きなカブトムシを捕まえたと自慢してきた。
それなら僕はクワガタを捕まえてやると森の奥へと入る。そこで僕は魔女みたいな女の人と出会った。
「しーっ、静かに。今はまだ森が眠っているから探しものは後にしてくれる?」
唇に指を当てる仕草がとても色っぽくて、恥ずかしくなった僕は逃げるように森を後にした。

暫くしてもう一度森の奥に入る。この森は僕の遊び場で友達でもある。きっとクワガタ探しにも協力してくれる筈だ。
いた!大きなクワガタを見つけた僕はそれを捕まえる。
宝石のようなクワガタを手にした僕はそれをそっと森へと返した。きっとあれはこの森の宝物だ。友達だからと言って貰うわけにはいかない。
僕の行為を女の人が意外そうな目で見る。
「しーっ、静かに。森が喜んでいるのを邪魔しちゃいけないよ」
僕の言葉に「分かっているわ」と嬉しそうに微笑む女の人。胸のクワガタブローチがきらりと光っていた。
公開:22/08/24 20:37

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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