白球を追いかけて

白球を追いかけていたあの頃のグラウンド。あの頃、俺はどんな気持ちでマウンドに立っていたのだろう？……そうだな。
あの時、俺は確か……。
「――甲子園だ」
俺の言葉を聞いて、みんなはきょとんとした表情を浮かべる。
「えっと……どういう意味ですか？」
首を傾げる星宮。そんな彼女に俺は言う。
「このチームは、全国制覇できるってことだよ」
そう言いながら、俺はベンチから立ち上がる。そしてグラウンドを見つめた。
「いいか、お前ら。今年の白富東は、甲子園を狙えるチームだって言ってんだ」
その言葉を聞いたチームメイトたちは、揃って目を見開いた。
「おいおい、どうしたんだよいきなり……」
キャプテンが呆れたように呟く。他の面々も同じだった。だがただ一人、星宮だけは違っていた。彼女は真剣な眼差しで俺を見据えている。
「できるよ。うん。もう弱小なんて言わせない！」
星宮。お前だけは、いつも俺の味方だった。