ろうの首相

世界で初めて、ろうの首相が誕生した。就任早々やったことは、発声の禁止だった。手話を国の第一言語とした。
学校で厳しく手話教育をした。少しでも喋ると叩かれた。父母のまえで手話を繰り返し練習させられ、きちんとできるまで寝食もままならなかった。家の家具に手話の絵を貼って、子どもはそれを見て覚えた。

手話を覚えない者は、優生保護法という名の下に断種させられた。何とか喋って拒否の気持ちを伝えようとしても、喋り相手になってしまった方も厳しく罰せられるので無視された。

まだ喋ろうとする者は、車を運転しても相手を罵る恐れもあるということで、免許を取り上げられた。
人としても半人前だということで、家のローンも組めない、遺産ももらえないという有様だった。

時期首相は聴者が選ばれ、そのような法律は撤廃された。しかし今まで聴者は、ろう者や障碍者に対してひどい差別をしてきたなと心ある人は反省した。