しーっ。静かに

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旅館やホテルに泊まる時、私は必ず手を叩く。
この行為は部屋に幽霊がいないか確かめるもの。私は霊感が強い。もし幽霊が居たらすぐに部屋を変えてもらおう。
『ちょっと貴方…うるさいですよ…』
洗面所から出てきた幽霊が私に文句を言ってきた。
『一体何時だと思っているんですか?他の部屋の人にも迷惑が掛かるでしょう?幽霊がいるかどうか確かめたいのは分かりますけど、もう少し他人の迷惑も考えてもらえませんか?』
ちゃんとした理由で怒られた。
『この部屋は金縛りとかラップとかそういうのはないので安心して下さい』
幽霊はそう言うと洗面所に戻っていく。
「幽霊が出た!」と苦情を告げようとフロントに向かおうとする私。だけど足が動かない。喉から声が発せない。
『しーっ、静かに。黙っていれば、何も悪い事しませんから』
耳元で囁く幽霊の声色は優しいのに、”告げたら赦さない”という意志がひしひしと伝わり、とても怖かった。
ホラー
公開:22/08/26 20:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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