チョット待って。

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ピンポーン。
「宅配便です。」
「はーい。あっ、チョット待って~。今、ちょっと手が離せなくて~。」
「出直しましょうか?」
「いや、鍵開いてるから、入って。」
玄関のドアを開けて中に入る。
覆面の男が中年の男をコブラツイストをしていた。
「大丈夫。気にしないで。荷物は適当な所に置いて。」 
と、覆面の男が言った。
「ハンコを。」
「あー、ハンコ。そこの引き出しの2段目に入ってるから。勝手に取って。今、手が離せないから。ねっ。」
「ホントに大丈夫ですか?」
敢えて中年の男の方に向いて聞いてみる。しかし、覆面が遮るように返事をした。
「ホントに大丈夫だから。ねっ!!ねっ!!」
覆面男の圧に負け、急いで引き出しからハンコを出し、それを押し、玄関を出た。

「コブラツイスト」と、小さく呟いてみる。その日はとても暑かった。
ミステリー・推理
公開:22/08/26 10:09

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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