ブラッドループ

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これで何度目のループだろう。
「もう、なんなのよこれ!?」
苛立ち紛れに地面を蹴ると、それは真っ赤な血だった。
――え? わたしは恐る恐る顔を上げて辺りを見回した。
そこはいつの間にか夕暮れ時で、周囲には誰もいない。
ただ、あちこちから血を流して倒れている人たちがいて……その中にはわたしの家族も混じっていた。
――あ、ああ……! 家族が殺されていく光景を見て、わたしの中で何かが切れた。
「うわぁぁぁぁ!」
気がつけば絶叫して駆け出していた。
どこへ行こうとあの悪夢から逃れられることはないのかもしれないけれど、それでも走り続けた。どのくらい走ったのかわからないけど、気がつくとどこかの屋敷の中へと逃げ込んでいた。
「君は何度目なんだい?」
「誰?」
少年が話しかけてきた。
「僕も出られなくてね。このループから。一緒に抜け出す方法を考えよう」
彼はそう言うと、自分の名を名乗った。
公開:22/08/22 09:30

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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