君と檸檬入り炭酸水

4
2

真夏の太陽の光に照らされたテラスに座っている君は眩しかった。
胸元にレモン色のリボンがついたサマードレスに身を包み、静かに読書をしながら、輪切りの檸檬が入った炭酸水を時折口にする君の横顔は可愛らしい妖精に見えた。


「時間だ。行ってくる」
俺の隣で一緒に彼女を見ていた親友が腕時計を見て行った。
「おう。頑張れ」
俺は親友を励まして送り出した。
親友が向かった先は彼女がいる席。
親友に気がついた彼女は本をバックにしまい、嬉しそうに笑って席を立った。

俺は楽しそうに会話をしながら去って行く親友と彼女を見ていた。
もし親友よりも先に告白していたら、君の隣に俺は立っていただろうか。
その笑顔を俺に向けてくれただろうか。
テーブル席には飲みかけの気泡が詰まった炭酸水。
酸っぱくて弾けそうな思いを俺は飲み込んだ。
恋愛
公開:22/08/24 13:43

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容