しーっ、静かに

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「しーっ、静かに」
見知らぬ女の子がそう言って僕を木の虚へと引っ張り込んだ。
今はかくれんぼの真っ最中。この子も参加していたっけ?歳は僕と同じくらい。公園にいた皆に呼び掛けたから知らない子が参加していてもおかしくない。でも近所にこんな子いたっけ?
疑問が浮かぶ。すぐに霧散する。だって女の子は凄く可愛い。ドキドキが止まらない。
この時間が続くようにと僕は必死に息を潜めた。
「みーつけた!」
だが思いのほかあっさりと見つかってしまった。あれ?あの女の子はどこに行ったのだろう?
いつの間にかいなくなっていた女の子。僕はがっかりして肩を落とす。

「ただいま…」
公園で遊んでいた息子が帰って来た。少し元気がないようだが何かあったのだろうか?
息子を見る。その背中に可愛い女の子の幽霊が憑りついていた。
その子は悪戯っぽく微笑むと『しーっ』と唇に人差し指を立てた。
悪い子じゃなさそうだし、別にいっか。
公開:22/08/23 20:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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