しーっ、静かに

0
2

試合前。深く深呼吸を一つ。
いつも通りやれば大丈夫だ。
ドキドキと高鳴る心臓に「しーっ、静かに」と心の中で命令する。
徐々に落ち着いてきた。よし、行くぞ!
「先輩、今日の試合も頑張って下さい!私、応援していますから!」
そう言って手作りチョコの入った箱を手渡す。適度な糖分はストレスの軽減にもなるし、先輩はチョコが大好きだ。
そして箱には手紙が忍ばせてある。
『試合が終わったら、二人きりで会ってもらえませんか?』
鈍感な先輩でもこの意味が分からない筈がない。
いつも通りの笑顔を浮かべていてもやっぱりドキドキが止まらない。
「ありがと。試合前に貰うわ」
ぎこちない笑顔を浮かべる先輩。余計な事したかな…と不安になる。
「あっ!あのさ!試合が終わったら二人きりで会わないか!その…大事な話があるんだ!」
胸が大きく高鳴った。私の心臓!静かにして!
今なら先輩の胸のドキドキが聞こえるかもしれないから!
青春
公開:22/08/23 20:28

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容