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公園の片隅のベンチに座って本を読んでいた。
「随分難しそうな本だね」
顔をあげると、近所に住む男の子だった。
「哲学書は君には難しいよな」
男の子は「そりゃ10才だもん」と顔をしかめた。
「僕はその年でこれを読んでた。神童って呼ばれていたからね」
「神童?」
「すごく賢い子って意味さ」
「へえ、塾でトップとか?」
塾に行かなくても勉強ができるから神童なんだと教えてやると、ますます感心している。

そこへ「ヒロ君」と男の子の母親が割り込んできた。
「塾に行く時間よ」

二人は会話をしながら遠ざかっていく。
「知らない人と話しちゃダメでしょ」
「ママ知らないの? 近所のお兄ちゃん。すごいんだ、神童だったって」
「ああ…そうだったかもね。今は二十才過ぎてニートだけど。ヒロ君はそうならないでね」
「ニートって何?」

…全部聞こえてるんですけど。
僕はひたすら公園でニーチェを読みふけった。
その他
公開:22/08/20 11:40

ナユセナユ

どんでん返しが好き。ちょっとずつ書いていきたいです。

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