虚々実々

活字離れから各新聞社は購読者数の減少に悩み、如何に興味ある紙面作りをするか検討委員会が設置された。
社内より前向きな提案を募る事となり、その大賞受賞者にはトロフィーと何と副賞として金一千万円が授与される事になった。
各社員は社運を掛けた本プロジェクトに、賛同し真剣且つ積極的に応募した。
一次選考合格の十提案の中より、最優秀大賞一作が決定された。
それは「虚々実々報道をし、記事内容が真実かフェイクかは読者の知的判断に任せ、その過程を楽しんで頂こう」と言う位置付けであった。
勿論取材に基づくリアル報道が主体ではあるが、各コーナーには消費税撤廃、授業料は全額国庫負担、勤務体制は週休4日制、養護施設は全額無料、JRは全国無料の乗り放題、国会議員定数半減とかが散りばめられている。
これらを読んだ読者の中には全て信じる人も多く現れ、いたずらに社会混乱を招く重大な犯罪行為として告訴された。