鳥家族

ウチの家族は物覚えが悪い。三歩歩けば、「はて？何をしようとしたのだろう？」と忘れてしまう程である。そんな私達を周りはコッケーだと笑った。
いやいや、私からすればそうやって笑う貴方達こそ鶏鳴狗盗の集まりにしか見えない。
私達は鶏群の一鶴。有象無象の中に混じるは美しき鶴。
能ある鷹は爪を隠す。醜い家鴨の子のように周りに迫害されてはたまらない。
いつだって有能を潰すのは無能なのだから。
そんな私達を利用しようとする者は多くいる。金の卵を産む鶏だ、なんて言って近づいてくるけど金の卵を産むのは鵞鳥だ。学のない奴らめ。
不用意に私に触れるな。鶏は意外と凶暴なのだ。闘う事を知る鳥だからな。軍鶏ありなん。
鶏は空を飛べない？だからどうした。意外とジャンプ力はあるし、風見鶏としてその場の空気を読む能力にも長けている。
物覚えの悪さなんてちょっとしたご愛敬さ。その程度の事でトサカに来る程、私達は愚かではない。