言葉の殺し屋

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俺は今日も一つの言葉を殺してきた。
今日殺したのは「社会の窓」。以前はズボンのチャックを指す言葉として使われていたが今の若者はそれを知らない。そんな言葉なら、新しい社会には必要ない。
俺は「社会の窓」を殺した。「社会の窓」は死語となった。
なぁに。死語になったからと言って、その言葉が消えるわけではない。覚えている者がいれば、その言葉はその人の中で生き続ける。言葉も人も、そこは変わらない。

俺は「社会の窓」の遺体をスマホのカメラで撮影する。
あとはこれをボスに写メすれば依頼は完了だ。
ちなみに「写メ」を死語にしたのも俺である。
俺は殺し屋だ。依頼があれば、愛すべき言葉ですら殺す時がある。
だから俺は、俺だけはこれからも死語となった言葉を使い続けていこうと誓っている。

次の依頼届いた。次に殺す言葉は…「ぴえん」?
俺は昭和生まれの言葉の殺し屋。今、「ぴえん」が何者か分からず、困惑している。
公開:22/08/20 21:03

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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