不思議な本

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その本は不思議な本だった。増刷すればするほど売れる。皆、大抵3冊は買った。そして、その本は歴史的なベストセラーになった。しかし、ある時を境に突然、その本はまったく売れなくなった。全国の本屋には大量の在庫だけが残った。そんな時に男は現れた。その男は各地の本屋を巡り大量の在庫を全て買い込んだ。そしてその本を河原に運び綺麗に積み上げた。そして火を放つ。「本の供養さ。」と男は言い放った。その光景はさながら巨大なキャンプファイアのようだった。男の本供養はすぐに話題になった。男はその後も、日本各地を周り、各地の供養では沢山のギャラリーが集まるようになっていった。ある日、奇跡が起こる。いつものように本を燃やしていると突然の雨。それは不思議な雨だった。文字の雨。燃やした本の文字が大量に降ってきたのだ。文字通り、文字の雨だった。
ファンタジー
公開:22/08/17 08:59

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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