人になったカラス

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荒野を飛ぶそのカラスは人を食べていた。
正確には人の死体をついばみ、腹を満たしていた。

ある日、カラスは赤い血肉の中から白く透明な「心」を見つけた。
カラスはキラキラと輝くそれを集めることにした。
「心」を眺めていると、カラスの頭に喜びや悲しみがドロドロと流れ込んでくるようだった。

「心」を随分集めた頃には、カラスは人をかなり理解できるようになっていた。
人は愛すること、笑うこと、悲しむこと、争うこと…

やがて、カラスは飢えて飛べなくなった。
罪悪感から人を食べることが出来なくなったからである。
地面に横たわったままのカラスに1人の少年が話しかけてきた。
心配そうなその目に映る自分の姿にカラスは驚きながらも目を閉じた。

カラスはキラキラと輝いていた。
ファンタジー
公開:22/08/15 06:15

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