言霊ドミナント

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「実は僕、霊感があるんだ」
「え!そうなんですか、すごい…」
「ただ、僕の場合は言霊専門でね」
「言霊?」
「そう。人の口からでた言葉が色の付いた煙のように見えるんだ。
例えば君、 え!すごい… とさっき話していたが、君の口からは白い煙が出ていたよ」
「白はどういう意味ですか?」
「白は無関心。つまり私の話に興味がないということだ」
「え、いや、そんなこと…」
「おや、オレンジの煙だ。君、少し焦っているね」
「そ、それより!そんなにいい能力があるなら、仕事にも活かせたんじゃないですか?例えば人の気持ちを汲み取るのが大事な教師とか」
「実は大学生のとき教育実習を経験したんだが、あれは全く駄目だった、ホントに」
「なぜですか?」
「なんせ子どもは考えることがコロコロ替わるからね。雑に混ざった煙が教室中に蔓延して一日中咳き込むしかなかったよ」
恥じらいの赤い煙を吐きながら彼は言った。
その他
公開:22/08/14 21:30
言霊 霊感

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