少年野球の神様

野球の練習に精を出す少年達。私は時折、彼らにアドバイスをする。
最初は「変なおっさん」と訝しんでいた少年達だが、アドバイスが的確なものと知るや私を”野球の神様”と呼び始めた。よしてくれ、私は野球が好きなただのゴミ漁りだ。
この時期、夏の甲子園で敗退するや野球の才能を捨てる若者が多くてね。私はそれをゴミ箱から拾い集めては少年達に披露しているだけだ。だから私は神様なんかじゃないよ。
中には私に「二刀流で活躍できる選手の才能をください」と言ってくる子もいる。
まあ、拾った才能をその子に与える事は可能だ。しかし捨てた才能なんて長続きはしない。だからオススメしない。
選手の才能ってのは野球に限らず、それを捨てず大切に育んでいく者に咲くものだと私は思っている。
だから私は少年達に才能を捨てずこれからも努力するようアドバイスする。
かつて夢と共に指導者としての才能を捨ててしまった、私からのアドバイスだ。