唐突な話

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午前四時。早朝のランニング中に出会ったのは、一糸まとわぬ姿で四つん這いになる少女だった。
「……なにやってるんだ?」
思わず訊ねると、彼女はこちらを向いた。その顔を見て俺は絶句する。
「……」
「……」
無言で見つめ合う俺達。やがて少女が口を開く。
「……お兄ちゃん」
「お兄ちゃん!?」
お兄ちゃんて何だ? まさか妹がいたのか? いや、そんなはずはない。俺には妹はいないし、もちろん兄弟もいないはずだ。ってかどうして裸なんだ? 俺は混乱していた。
「お兄ちゃん……お願いがあるの」
そう言うと少女は切なげな表情を浮かべた。
「えっ、お願い?」
困惑しつつも聞き返す俺に、少女はさらに言葉を続ける。
「私を好きにしていいから……だから……」
そこまで言うと、少女の目からは涙が溢れ出した。そしてそのまま泣き崩れてしまう。
「世界を救って!!」
もう何がなんだか俺には分からず、俺も泣いてしまった。
公開:22/08/16 09:06

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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