差し入れ
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残りは一枚、二枚、三枚。書類を数えていく。終わりが全く見えない。今日も残業だ。時計の針が刻む音と自分のペンの音だけが響く部屋で黙々と仕事をこなしていると、ふいにドアが開かれた。こんな時間に来客か? 顔を上げれば、そこには見た事のある顔があった。
「……あ」
「こんばんは」
そこにいたのは、先日知り合ったばかりの男だった。
「どうしてここに?」
「近くまで来たから寄ってみたんだ」
そう言って彼は微笑みながら近づいてきた。
この前と同じスーツ姿だけれど、ネクタイの色が違う。今日は濃い青。
「君はまだ仕事をしていたのか」
「まぁ」
曖昧な返事をする私に、彼は手に持っていた紙袋を差し出した。
「よかったら食べてくれ」
中には差し入れと書かれた紙が入っていた。
「?」
「差し入れは何が良い?」
「じゃあ羊羹」
そう言うと男は、狐の姿に変わり、紙を羊羹に変化させた。彼は私が数日前に助けた狐だったのだ。
「……あ」
「こんばんは」
そこにいたのは、先日知り合ったばかりの男だった。
「どうしてここに?」
「近くまで来たから寄ってみたんだ」
そう言って彼は微笑みながら近づいてきた。
この前と同じスーツ姿だけれど、ネクタイの色が違う。今日は濃い青。
「君はまだ仕事をしていたのか」
「まぁ」
曖昧な返事をする私に、彼は手に持っていた紙袋を差し出した。
「よかったら食べてくれ」
中には差し入れと書かれた紙が入っていた。
「?」
「差し入れは何が良い?」
「じゃあ羊羹」
そう言うと男は、狐の姿に変わり、紙を羊羹に変化させた。彼は私が数日前に助けた狐だったのだ。
公開:22/08/17 09:21
更新:22/08/16 08:31
更新:22/08/16 08:31
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富本アキユ