天界アルテミス

飛行機の高度はグングンと上昇した。天気が悪いから雲の上に抜けようという機長の判断だった。副機長である私は指示に従い、高度をあげた。雲を突き抜けていき、ついに雲の上に出た。するとそこには、黄金に輝く神殿があった。
「な、なんだあれは！？」
私は思わず声をあげた。
「お前知らないのか？何年パイロットやってるんだ。天界アルテミスだよ」
「て、天界ー！？」
機長は平然と天界という単語を出して説明してきた。
「天界なんて存在するんですか？」
「そうさ。雲の上にあるちょっとした観光スポットさ」
「ええー！？」
私は驚きの声を連発してあげた。
「でも今は仕事中だ。オフの日になら連れて行ってやってもいいぞ」
「行きたいです」
オフの日。私は天空アルテミスに連れて行ってもらった。
「これは……凄い」
「ただしここは天国。一度来たら元には戻れないぜ。俺は死にたかったからいいけどな」
なんてことだ……。