虫眼鏡
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パチンコの帰り、通りすがりの雑貨屋にふらっと立ち寄ってみた。
売り物を何気なく眺めていると、「虫眼鏡」と書かれた札があった。
見ると、よく観察なんかに使うあれではなく、普通の眼鏡のような形のものだった。
僕は奥にいる店主に声をかけ、聞いてみた。
「ああ、それですか。それは、人の前世がどんな虫だったかが見える眼鏡なんですよ」
「前世? 人の前世って虫なんですか」
「虫だけじゃないんですが、前前世、前前前世とたどっていくと、必ず虫だった時があるんです。それが見えるってわけで」
騙されているような気もしたけれど、パチンコも勝ったし、話のタネに買ってみることにした。
家に帰ると、「お帰りなさい」と妻の声。
よし、じゃあ手始めに、と思い、さっき買った虫眼鏡をかけて妻を見た。
カマキリだった。
「へえ。あれ、カマキリのメスって確か……」
その晩から、僕は妻と別々の部屋で寝ることにした。
売り物を何気なく眺めていると、「虫眼鏡」と書かれた札があった。
見ると、よく観察なんかに使うあれではなく、普通の眼鏡のような形のものだった。
僕は奥にいる店主に声をかけ、聞いてみた。
「ああ、それですか。それは、人の前世がどんな虫だったかが見える眼鏡なんですよ」
「前世? 人の前世って虫なんですか」
「虫だけじゃないんですが、前前世、前前前世とたどっていくと、必ず虫だった時があるんです。それが見えるってわけで」
騙されているような気もしたけれど、パチンコも勝ったし、話のタネに買ってみることにした。
家に帰ると、「お帰りなさい」と妻の声。
よし、じゃあ手始めに、と思い、さっき買った虫眼鏡をかけて妻を見た。
カマキリだった。
「へえ。あれ、カマキリのメスって確か……」
その晩から、僕は妻と別々の部屋で寝ることにした。
その他
公開:22/08/14 01:29
断続的にではありますが、趣味で細々とショートストーリーを書いています。
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