10
1

治療が必要な犯罪者が入る医療刑務所というところに男はいた。
とはいっても、男の場合は症状が軽く、医師と定期的に面会をする程度。通常の刑務所とほとんど変わらない生活を送っている。

今日も医師との面会があった。もう様々な話をして今ではすっかり気心が知れる仲だ。
男は精神を病んでいたのだった。
「実はあなただから教えますが、最近無償に人を殺したくなってきたんです」
「え? まさか…二年もここにいて…冗談でしょ?」
「冗談なもんですか。今、計画を練っているところです」
「それはどんな…?」
「何でもいいんですよ。点滴に薬を混ぜるとか、注射器でもいいな」
「あんたにそんなこと…できるわけがない!」
「私の知識と実行力があれば簡単です」

男は叫んだ。
「来てくれ看守さん! 俺の主治医がおかしくなっちまった…」
医師はフフと笑った。
「精神病を患った殺人犯のあなたの言葉なんて誰も信じませんよ」
ミステリー・推理
公開:22/08/13 18:24

ナユセナユ

どんでん返しが好き。ちょっとずつ書いていきたいです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容