痛みの意味

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「あぁ、産まれたのか」
夫がスマートフォンを見ながら興味なさげに話しかけてきた。
「えぇ、そうみたいね」
私も何事もないように返した。
窓ガラスの向こう側では産声が無数に溢れかえっていた。
「本当にこれでお前はよかったのか?」
私は少し考えた後、
「えぇ、今時自然分娩なんて時代錯誤ですもの」
と答えた。
地元の友達はもう大体の人が出産していて、だれも自然分娩を選ぶことなんてなかった。みんな口々に痛みを持って産むのが馬鹿馬鹿しいと思っただとか、普通の子供と変わんないだとか言っていた。私は流されるまま出産機による出産を選択した。私は体も弱かったし、夫も賛成していた。
けど、私は痛みを伴わないで産んだ子供を愛せるか不安だった。

「これで、よかったのよ」
自分を無理矢理納得させるように呟く。

外では雨が降っていた。雨に打たれれば、私の淀みは洗い流されるのだろうか。
その他
公開:22/08/13 15:23

リマウチ

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