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「あそこの爺さん、急に立ち上がったと」
噂は村を駆け巡り、皆集まってきた。
大勢に囲まれる中、覚束ないが確かに爺さんは立っていた。
空席の車椅子の傍で爺さんの娘は見慣れぬ男に深く頭を下げていた。彼は小さなゴミ袋の口を固く縛った。
「一体、爺さんに何をした」1人が彼に問うた。
「歩けない原因を取り除いただけだ」とゴミ袋を掲げた。
「必ず跡形もなく燃やす事。そして絶対に中を見てはいけませんよ」
そう言って娘にゴミ袋を手渡した。怖怖受け取ると慎重にテーブルへ置いた。
涙を流す爺さんを皆で取り囲む。男を見送る為、外した娘の隙を突きテーブルの袋をくすねた若者がいた。
そそくさと自宅に戻る。「中身を知れば俺も稼げるぞ」
宿屋主人は客の男に語る。「隣村である老人が歩けた途端、若者が歩けなくなったそうです」
そうかと答えると男は主人に問うた。
「この辺りで、出来やしないと絶望と諦めに嘆く人間は居ないか」
噂は村を駆け巡り、皆集まってきた。
大勢に囲まれる中、覚束ないが確かに爺さんは立っていた。
空席の車椅子の傍で爺さんの娘は見慣れぬ男に深く頭を下げていた。彼は小さなゴミ袋の口を固く縛った。
「一体、爺さんに何をした」1人が彼に問うた。
「歩けない原因を取り除いただけだ」とゴミ袋を掲げた。
「必ず跡形もなく燃やす事。そして絶対に中を見てはいけませんよ」
そう言って娘にゴミ袋を手渡した。怖怖受け取ると慎重にテーブルへ置いた。
涙を流す爺さんを皆で取り囲む。男を見送る為、外した娘の隙を突きテーブルの袋をくすねた若者がいた。
そそくさと自宅に戻る。「中身を知れば俺も稼げるぞ」
宿屋主人は客の男に語る。「隣村である老人が歩けた途端、若者が歩けなくなったそうです」
そうかと答えると男は主人に問うた。
「この辺りで、出来やしないと絶望と諦めに嘆く人間は居ないか」
SF
公開:22/08/14 17:56
まずは自分が楽しむこと。
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