can't be true chapter4 ～fake news～

琴里の問いに、折紙は無言のまま視線を落とした。
まるでその質問は想定外であったかのように、微かに眉根を寄せている。
「……わからない」
「わからない？ どういう意味かしら」
「そのままの意味。なぜ自分がこんなことをしているのか、自分でもよくわかっていない」
「なんですって？」
琴里が不審げに問うと、折紙は小さく肩を落としながら続けてきた。
「──覚えていないの。五年前以前の記憶がない」
「……ッ！」
その告白を聞いて、琴里たちは息を詰まらせた。
確かに、考えてみればおかしい話ではあったのだ。ASTはDEMインダストリー所属の魔術師集団であり、それを統括するのは社長であるエレン・メイザースだと言われている。
ならば彼女が、わざわざAST以外の人間を寄越す理由はないはずだった。
それに何より、折紙の纏った霊装や、彼女の操る〈バンダースナッチ〉という存在そのものが異常だった。