ノックの音が

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ノックの音がした。
とんとん。
わたしはドアの方へ目をやった。
まだ、当分出れそうにもないので無視を決め込んでいると、再びノックの音がした。
とんとん。
やれやれ⋯⋯。
中に先客が居るのが分からないのか?
仕方がないので、わたしは同じように「とんとん」と、ノックを返してやった。

これでもう、邪魔される事はないだろうと思っていたのだが、しばらくするとまた、
とんとん。
とドアを叩く音が聞こえた。
くそっ、しつこい奴だ!
わたしは、
ドンドン!
と強めにドアを叩いてやったが、今度は嬉しそうな笑い声すら聞こえてくる始末。
そしてわたしにはまったく理解できない奇妙な言語で、
「コノ子マタ、オ腹、蹴ッタワ!」
などとわめいている。

わたしは一刻も早くこの部屋から出て、文句のひとつも言ってやろうと決意した──。
その他
公開:22/08/12 18:44
更新:22/08/13 00:22
赤ちゃん祭り 出産祭り

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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