幸せの黄色いハンカチ

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「広島くん、ちょっといいかな?」
「はい」
課長が先程渡した企画書を手に持ち、俺を呼んだ。
「ここさ、もっと詳しく書いてもいいんじゃないかな?あと…ゴホッすまん、ゴホゴホ」
咽せる課長。
「だっ、大丈夫ですか?」
「くっ苦しい、腹も痛い!気道におっ!」
喉をもがきながら、課長は苦しみながら口の中に手を入れ、口から黄色のハンカチを出した。
「簡潔に言うと、そう言う事なんで」
ハンカチを吐き出した課長は、そう言い、仕事を続ける。周りも気にする様子はない。

不思議な事が起きたのに、何事も無かったかのよう。とりあえずコーヒーでもと、給湯室に目をやると、入口から大量のジェット風船が、ピューと飛び出した。恐る恐る中を覗くと、黄色いハンカチの旗がなびいていた。

あ!スマホを手にし、出産里帰りしてる妻の留守電に。
「野球好きな北海道出身の嫁さんが子供を産んだというメッセージ受け取りました。ありがとう」
公開:22/08/12 18:29
更新:22/08/13 01:20
出産祭り 赤ちゃん祭り

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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