あいが生まれた日に

妻は朝方に産気づき、子供達に見守られながら病院へ行った。しかし私は一つ悩んでいた。名前の候補が男しかなかったのだ。

私達は生まれる子供の詳細は一切聞かないようにしており、生まれた時の喜びを大事にしている。

だからどんなパターンでも名前を決めておく必要があるのだが、今回は男しか思いつかなかったのだ。

そして妻が八時間戦い、私は励まし続け、遂にその時が来た。

医師が子を取り上げた。

「おめでとうございます。元気な男の子です」

よし、男の子だ。

「可愛い青ちゃんですね」

何？まさかここにきて青？

赤ちゃんに始まり、橙ちゃん、黄ちゃん、緑ちゃん、青ちゃん、紫ちゃんと生まれたのだから、藍ちゃんが生まれるものとばかり思っていた。

しかし末っ子の藍之助は、その性格からか家族中の愛を集め、小学校にあがる頃には藍に染まっていた。

「虹の父です、七人ですが」を最近営業で使い始めた。