スカウト

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スカウト「そこの君!ちょっと良いかな?」
オレ「えっ?オレ?」
スカウト「違う!後ろの君だよ!」
オレ「あ、またか。」オレの背後霊はオレより存在感がある。そしてイケメンだ。よく話しかけられる。
スカウト「芸能の仕事とか興味ない?」
背後霊「え~。困ったな~。オレ、背後霊なんだけど。」
満更でもない感じなのがまた、ちょっとムカつく。
スカウト「大丈夫。うちの事務所は幽霊部門あるから。」
オレ「そんなのあるの?」
背後霊「じゃあ、話だけでも聞こうかな~。」
オレ「え~。」
そうして背後霊はボクの元から去って行ったのであった。数ヵ月後。
部屋でテレビを見ていた。夏の心霊番組。幽霊が映ったビデオというのを放送していた。何気なく見ていると知っている顔。オレの背後霊だ。いや、正確に言うとオレの元背後霊。「頑張ってるんだな。」何故かオレは少し誇らしげな気分になった。それは、夏のとても暑い夜だった。
青春
公開:22/08/11 09:42

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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