気まぐれな蜘蛛の糸

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カンダタが血の海地獄で苦しんでいると、上から垂らされた蜘蛛の糸に気づいた。そうか登ってこいと、いうことかと登り始めた。
自分だけではなく、他の人たちも登ってくるのに気がついた。しかし咎める気にはなれなかった。

地獄に落とされたいろいろな人たちと話をしたが、根っからの悪だなと感じたのはほんの一握りだった。
ほとんどの人たちは環境のせいだったり、生きていくために仕方なしに悪事に手を染めたという事情があった。そんな人たちが救われたい一心で必死に登って来ているのに、これはおれの物だととても言えたものではなかった。

まあいいさ、切れるなら切れろと無欲で登ったら、それが功を奏したのか大勢の人が登りきるのに成功した。

しかしカンダタは屈折した思いを拭いきれなかった。お釈迦様は、おれの虫を踏みつぶそうしたが助けてやった善行を評価したみたいだが、その程度の優しさは誰でもあるではないか。
その他
公開:22/08/10 23:45

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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