夢喰いメルシー

被験体メルシーは夢を喰う。人の夢を喰らう事で自らのエネルギーに変えて生きている。メルシーは、数年前に捕獲された幻の生物であるユメクイのDNAを取り込んだ人間であり、人類、いや、動物史上初めて食べ物を食べずに生きていける能力を持った人間なのである。世界では将来、食糧危機に陥る可能性がある。その対策としてユメクイ人間を作る事で、食べ物を食べる必要のない人間を作り出すというのが、実験の目的だった。将来的には、メルシーのような人間で溢れかえるだろう。
「メルシーか。フランス語でありがとうって意味だろう？実験体にされたのにありがとうとは、皮肉な名前をつけられたもんだ」
「あの少女には、これからも沢山痛い思いをしてもらうよ」
その会話を偶然聞いたメルシーは、悪夢だけを喰わなくして、人々を恐怖のどん底に陥れる計画を立てる。
「悪夢を見れる事に感謝しなさい。メルシーと」
少女の長いブロンズヘアーが靡いた。