睡眠薬と星の王子さま ※睡眠薬はフィクションです

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仕事が終わった私は電車の中でYouTubeを見ていた。
お弁当を持参しているので、参考にと色々な動画を見ていた。
すると、これを飲めば誰でも『星の王子さま』に会えるという睡眠薬の広告が流れた。
なにそれと私は心の中で笑った。
数日後、同僚が寿退社した。
見送ったのは今年で3人目。
私は32歳のアラサー。
婚活してもいい人に出会えない私は焦る自分を慰めるために『星の王子さま』を購入した。
夢の中に現れた彼は理想の結婚相手だった。
料理の好みも笑いのツボも同じで楽しい時間が流れる。
私の心に焦りはなくなり幸せに満たされた。
これをきっかけに婚活を止めて、毎晩睡眠薬を飲んだ。
ある朝、頬を叩かれて目が覚めた。
「…なに?」
「何度呼んでも起きないから!」
母親の声は焦りと不安が混じっていた。
私はいつのまにか中毒になっていた。
あの人は星の王子さまではなく、虚無の王子さまなのだと気づいた。
その他
公開:22/08/09 11:19

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