スイカ旅

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駅の八百屋でスイカを買った。

ふざけてスイカを、改札口のタッチパネルにのせた。
ペッと音が鳴り、何かがぼくのおでこに飛んだ。手でぬぐうとスイカの種だった。
改札口が開く。
「これが切符?」
駅員によると、種はゴミらしい。使用済み特急券入れの隣に、種入れがある。
「へえ。このスイカ、使われてるんだ。」
新幹線に乗る。
お皿とナイフを借り、座席でスイカを食べることにする。
車内販売が来た。ビールを買う。
「お支払いは?」
と言うので、ふざけてスイカでと言った。
すると、食べるために切った、一片のスイカをガブリされた。
「おつりは?」
「いるよ。」
汚い。食べ残しを返された。
「やっぱり、おつりはいらない。」
「セレブでらっしゃいますね。」
何を。お前のせいじゃないか。
ん? セレブの中には、清潔感から、おつりがいらない人もいるのだろうか?

スイカは、味わう体験が、新鮮なものにかぎる。
ファンタジー
公開:22/08/09 10:46
更新:22/08/10 07:44

久保田 人月

よろしくお願いします。
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