卑屈ウイスキー

6
2

今夜は飲み会だ。嫌いな上司とわざわざ酒の席で一緒に飲むなんて、酒が不味くなる。俺は本当なら行きたくなかったんだ。だが仕事で仕方なく行かなければならない。どうして飲み会なんてものがあるのだろう。日本の悪しき習慣だと思う。

「今日は無礼講だ。さあ飲め」

何が無礼講だ。そんな事を言ってもどうせ気を遣わされるんだ。

「ありがとうございます。では……乾杯」

酒を飲み始めてしばらく経って良い感じに酔ってきた上司は、恒例の武勇伝を語り出した。

「俺の若い頃はなあ……」

誰もお前の若い頃の話なんて興味ない。俺は聞き流しながらメニューを見て酒を頼む。

卑屈ウイスキー?なんだ、これ?
見た事がないメニューだった。頼んで上司に飲ませてみると……

「俺なんて……俺なんて……」

物凄く卑屈になった。これは面白いと思った俺は、じゃんじゃん卑屈ウイスキー持ってきてと店員の女の子に頼むのだった。
公開:22/08/09 07:00

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容