人身売買

お盆が近づくとウチはかなり忙しくなる。客である幽霊達がやって来ては好みの肉体を見つけ「入ってみてもいいですか？」とファッション感覚で試憑する。
「少し若すぎます？」と享年８９歳の老婆が４０代の肉体に入って聞いてくる。「お似合いですよ」と営業スマイルで返す。
最近では幼くして亡くなった子供が成長した姿を遺族に見せたいからと大人の肉体を買う事も多い。
こんな感じの人身売買をウチは生業としている。
ウチで売っている人身は触れるとひんやりして、より幽霊っぽさを出している。
あとレンタルではなく売買ってところにも拘っていてね。
時折、一部の客が幽体離脱して肉体を置き去りにしていく事があるんだ。レンタルだとそれが問題になってね…死体遺棄だと叫ばれ、社会問題にもなってね…
そこでウチの肉体は捨てられても夏の熱さで自然に消える仕様になっている。
消える前に売ってくれたら、三途の川の渡し賃をお出ししている。