コースター

となり町にあるカフェに来た。
　席に座り、メニューを選んで呼び出しボタンを押す。程なくしてカトラリーが入ったケースと水、コップ、コースターが入ったガラス瓶をトレーに乗せて店員がやってきた。店員はカトラリーケースを机に置き、ガラス瓶からテーブルへとぷるぷるり、コースターを垂らす。その上へ竣敏な動きでコップを置いた。そうしてコースターを硬める。水をそそぎ入れ注文をとった店員は厨房へと消えていった。
　このダイラタンシー現象を応用したコースターが世に出回り始めたのはいつだったか。今ではどの店もこのコースターを使うので、店員も客も皆、飲み物を机に置く時は竣敏な動きをしている。水で洗って何度も使えるし、引きちぎって放って置けば勝手に増えるので飲食店では重宝されているようだ。
ただ、このコースターの問題点を挙げるとするのならば、処分の方法が未だ判明していないことだ。