花火師の憂鬱

儂は孫は世界一可愛い！目に入れても痛くないとはまさにこの事！孫、最高！
だからこそ儂は心配だ…来年小学校へと通う孫が誘拐されるのではないかと不安で堪らない。世界一可愛い孫だ。可能性は十分にある。
だから儂は孫のランドセルに花火を仕込んだ。ランドセルのカバーに花火師の業を描いた。夜空のような蒼色ランドセルに映える花火柄。孫も大喜びだ。
このランドセル、紐を引くとカバーに描かれた花火が空高く昇り、ぱぁん！と弾ける。その音と大きさに誘拐犯はきっと怖気づくだろう。そうでなくとも人が集まる事間違いなし。
防犯ブザーを越える防犯花火。これでもう一安心！
と、喜んでいる儂の頭を婆さんが思いっきり引っぱたいた。
「アンタ！ランドセル花火一発撃ち上げるのにいくらかかると思ってんの！」
婆さんの差し出した請求書を見る。ひぃふぅみぃよぅいっむぅ…
「一発でも打ち上がったらお小遣いから引かせてもらいますからね！」