半自動溶接ロボット

ある機械メーカーで火災が発生し消防隊がすぐに到着した。工場内に火の手は見えず建物の一つから煙が上がっている。消防隊長が工場長の話を聞いた。
「機械の保管倉庫です。廃棄予定の溶接ロボット二十台ほどが入っています。中にいた人間の話ではロボットが手足が触れたとか些細なことで喧嘩を始めて、文字通り火花を散らしそれが引火したようです。人はすぐに外に出たんですが、ロボットたちは喧嘩をやめず建物の扉を溶接してしまった。彼らは半自動なので溶接することしか思いつかないのです」
「中はどんな様子ですか？」
「わかりません。倉庫は耐火構造なので火は外に燃え移らないですが」
そのとき、倉庫の屋根がめりめりと音を立てて破れて機械の塊が頭を出した。よく見ると十数台のロボットが溶接されて一体となり動きをやめず屋根を打ち破ったのだ。
「火はすぐに消せるが、こいつをどうやって捕らえるか、これは難物だ・・」消防隊長が呟いた。