花火師の憂鬱

花火キャンドルをご存知だろうか？誕生日ケーキ等、ロウソクの代わりに使う花火でパーティ等でよく使われる。私はそんな花火を専門に作っている。
そんな私は長年、ある悩みを抱えている。それはかの有名な洋食屋、山猫軒に由来する事だ。
ある日、私宛に山猫軒の主を名乗る者から手紙が届いた。
何でも山猫軒で働く猫は食う寝る仕事の３つしか知らないらしく、食事もただの作業と化している、と。
主は洋食屋の主として食に対するマナーを猫に教えたいらしい。そこで私の花火の出番だ。
猫は火が苦手だ。花火キャンドルを使った食事を出されては火が消えるまで待たなければならない。待つ間、主はマナーを教えようと考えたようだ。
猫好きの私は是非にと協力を買って出た。
主の目論見は成功したらしく、今でも定期的に注文が入る。
惜しむらくは、私の花火キャンドルを見つめる猫達を見られない事である。
どうにかして山猫軒に行けないものかなぁ…