ラジオ体操

12
3

「じゃ、行ってきます…」
夏休みだというのに、なぜ早起きしてラジオ体操に行かなければならないのか。休みなんだから寝坊したい。僕らをそうさせないために先生たちが決めたのだろうか。
「おはようっ!」
「お、おはようございます…」
6年生のお姉さんはラジオをセットするために一番早く公園に来ている。毎年6年生がラジオ体操の準備をしている。時間になるとラジオのスイッチをONにして、みんなでラジオ体操を始める。体操が終わると出欠票にスタンプを押して解散となる。

その日は穏やかな風が吹いていて、気持ちのいい朝だった。いつも通りラジオ体操が終わり、スタンプを押してもらうために列に並んだ。僕の順番になってお姉さんにスタンプを押してもらおうとしたとき、風が吹いた。お姉さんの長い髪の毛先が僕の手に触れ、そして甘い香りがした。

「じゃ、行ってきます!」
翌日からラジオ体操に行くのがちょっと楽しみになっていた。
その他
公開:22/07/31 23:36

ひろいてん

面白そうなので参加してみました。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容