見知らぬ同窓生

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やはり来なきゃ良かった。皆、何気なしに近況を自慢し合っている。すっかりうらぶれてしまった、この身なりせいか。昔の面影をとどめた顔ばかりなのに、俺に注意を向ける者はいない。ずっと放ったらかしだ。
いい加減、もう帰ろうか。

──よっ、久しぶり! こんなとこにいたか。
惨めな様子を見兼ねたのか、賑やかな一団から抜け出して、男がひとりやって来た。
──いやあ、皆変わり果てたな。でもお前は、あの頃と全然変わらない。
ハテ、こいつ誰だっけ? いやに馴れ馴れしいけど。暫く話を合わせよう。
──今でもビートルズばっかり聴いてるのか? お前の部屋で散々聴かされたっけ。
かなり親しかったようだが、一体こい つは?
──おい、これ見ろよ。お前が付けたヤツ。
そう言って左手首の傷跡を目の前に突き衝けた。

思い出した。こいつは俺だ。あの日、結局死にきれなかった俺自身だ。
それでは、今のこの俺は一体、何者なんだ?
ホラー
公開:22/07/31 21:16

痩せがえる

遅筆のため、週に一作できればと思っています。どうか、よろしくお願います。

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