ヤマモモイロアゲハ

8
3

「ヤマモモイロアゲハ?」
「なんだお前知らないのか。」
赤口は唖然とした顔で僕を見た。
「この学校の裏山にその蝶はいるんだけどな、あれはただの蝶じゃないんだ。」
赤口が続ける。
「その蝶に聞こえるように願い事を言うと、一週間で願いが叶っちまうらしい。」
「そんな嘘みたいな話あるの?」
「ばかいえ!信じてないのか?なら試してみるといいさ。蝶に向かって目をギュッとつむりながら願い事をいえばいいだけだ。欲張ろうとするなよ?無理な願い事を言えばいつの間にか蝶も願い事もパァだ。あくまで叶えられそうなやつだけだからな?」
僕は赤口の勢いに押されて苦笑いしか出来なかった。
「とりあえず俺行ってみるからよ。一緒に行かねぇか?」
「あー、ごめん。今日は少し予定が。」
「ちぇっ、なんだよ。じゃあ一人で行くか。」

はぁ、気まぐれで人助けしなきゃよかった。ため息をつきながら僕はいつも通り裏山へと帰っていった。
ファンタジー
公開:22/08/02 17:03
更新:22/08/05 22:14

リマウチ

超ショートショート書いていきます

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容