まさかの賛同者達

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編集部に緊張が走る。
「林君は居るか」口調に怒気を察知し編集長は駆け寄る。
「橘先生!申付頂ければこちらから…」
「よくも私を侮辱してくれたな」手には橘氏の新作本が握られている。
「まさか…先生もですか」応接室にお通しして打合せブースに走った。
副編集長が別件で新人作家の問合せに対応していた。
「橘先生も同じ内容でお越しだ」「え!そんな馬鹿な」
恐らくあしらわれていた新人作家は語気を強めた。「作家に無断で内容改変なんて越権行為ですよ。林さんは今何処に?」
「それが音信不通で…」
林ら主導で社内編集者が待遇改善を求めストライキを起こした矢先にこのトラブルだ。
「編集長。秋口漱水先生のご子息の方がお越しです」「は?なぜ?」

「亡き父の作品がまさか…私も狐につままれた気分です」秋口漱水の出世作『某は剣豪である』の骨董品級の初版本の冒頭文を指した。
『林氏のストに賛同し某は人を斬らぬと決めた-』
SF
公開:22/08/02 11:31

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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