理想の女の子

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毎朝地下道で、女の子と会う。私はそれが楽しみだった。私の好みの女の子だったからだ。
しかしそれは通常の人だと嫌がることであった。何故なら彼女は幽霊だったからだ。私は女性に今まで一度も相手にされたことがなかったから、幽霊としてでも理想の相手に会えたことは嬉しかった。

見えていたのは私だけみたいだが、彼女は毎日微笑んでくれた。私も一人だけ微笑み返した。引き換えに精気が吸い取られていく気がした。しかし構わなかった。
 
今の人生は仕事も私生活もつまらなく、死んだような人生だ。死んで彼女の許に行けるなら、その方が幸せと言えた。

だが死んでも、彼女の許には行けなかった。単に私の片思いだったようだ。
この世でもあの世でも、理想通りにはいかないらしい。
ホラー
公開:22/08/02 01:57

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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