男の身勝手

3
1

おれは組長の息子である。親父は高貴な女性とおれを結婚させたいみたいだが、おれは一般市民の女性に恋してしまった。激怒した親父はおれのことは咎めず、彼女の方を殺すと言い出した。
だが彼女に最後のチャンスを与えた。二つの扉の片方にハンサムな男が入っていて、その扉を開けた場合は命は助かりその男と一生添い遂げることとなる。
もう片方の扉にはヒットマンが入っていて、その場で撃ち殺される。

ちらとおれの方を見た彼女に、おれは右手をそっと上げた。彼女は右の扉を開けた。中にはハンサムな男が入っていた。

これでいいのだ。目の前で愛する女が殺される姿など見たくない。いや、それは建前だな。
後味の悪い思いをせずに、二人の仲が切り裂かれてしまったね仕方がないねという大義名分で他の女性と遊ぶことができる。どうせ少しあの女には飽きてきた頃だったし。

しかしおれが同じことをされてたら嫌だったろう。勝手なものだ。
恋愛
公開:22/08/02 01:43

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容