虹色鉛筆

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昔、娘に嘘を教えたことがある。

「ねえ。虹ってどうしてできるの?」
「虹色鉛筆で神様が描いてるからだよ」
「私も虹色鉛筆欲しい!!」

娘は、キラキラした真っ直ぐな瞳で言った。

「じゃあ良い子にして病気を治さないとね」

それから娘は頑張って苦い薬も飲んだ。その頑張る姿に心を打たれた私は、娘に嘘をついてしまった事を後悔した。だからせめて夢を見させてあげようと思い、一本で七色の色が描ける虹色鉛筆を用意した。

「お母さんね。虹色鉛筆持ってるんだ。これ、梨花ちゃんにあげる」
「ほんと!?」

そう言って梨花に七色鉛筆を渡した。

「梨花、虹描く!!」

そう言って喜んで紙に虹の絵を描き始めた。

「……虹出ない」

梨花は不満そうだった。その翌日、雨が降った。梨花は泣きそうな顔をしていた。そして翌日。

「梨花。見て」

窓を開けると大きな虹が出ていた。これはきっと梨花が頑張ったご褒美だ。
公開:22/07/30 09:19

富本アキユ( 日本 )

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