花火師の憂鬱

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ここは賽の河原。親より先に死んだ子ども達が石積みを続ける場所である。
鬼である俺は石積の塔が完成する前に壊す仕事をしている。良心が痛まないと言ったら嘘になる。俺も家に帰ればこの子らと同じ位の歳の子がいる。だからこそ、その努力を踏みにじる行為は正直したくない…
それを上司に話すと「なら、石積みを邪魔する他の方法を考えて来なさい」と言われた。
他の方法…子ども達を傷つけず、それでもって石積みを邪魔する方法…そうだ!打ち上げ花火だ!あの大きな音と光で子ども達を驚かせてやろう!
きっと驚いた拍子に石積みの塔を崩してしまうが花火には喜んでくれるだろう。
俺は早速花火師に弟子入りし、賽の河原で花火を打ち上げる。
子ども達は突然の花火に驚き、石積の塔を何度も崩す。だがその顔に悲壮はない。まさに狙い通りだ!
うん。子ども達が花火を気に入ってしまい、石積しなくなったのは誤算だったな…また別の方法考えなきゃ…
公開:22/07/29 20:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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