感情の蓋

普段、髪をアップにまとめている彼女が僕にだけは髪を下した姿を見せてくれる。
彼女の頭頂部にはペットボトルの蓋のようなものが乗っている。これは彼女の感情の蓋。周りから大人っぽいと言われる彼女の秘密でもある。
彼女は感情の蓋を開ける。まるで炭酸飲料が噴き出すかのように彼女は喋り始めた。かなり鬱憤が溜まっていたようだ。子供っぽくはしゃいではウザったく僕に絡んでくる。感情を全開にして好き勝手し始める。
思いっきり喋ってはしゃいで…彼女は眠ってしまった。全部吐き出してすっきりしたのだろう。
僕はそんな彼女の感情の蓋をしっかりと閉める。
そして僕の感情の蓋を開く。もう限界だったんだ。僕は君を殺したくて仕方がない。僕は感情を全開にする。
狂気に満ちた僕の顔を見て君は恐怖するかな？いや、大丈夫だろう。感情の蓋はしっかり閉めてある。
今、彼女が目覚めたところで僕に恐怖は微塵も感じないと思う。だから、殺すね。