期待を裏切る機械

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風変わりな天才エンジニアが半生をかけて一つの機械を作った。まもなく彼は逝去したので機械のことは不明のまま。外見は一辺一メートルほどの黒い立方体。近づくとあとずさりし、声をかけても返事はない。機械はXと呼ばれ何人もが機能を探ったが無駄に終わる。天才エンジニア作のXは期待を裏切られて産業廃棄物の山に捨てられた。
年月が経って地球規模の戦争が勃発、SF映画のように人類は核兵器を撃ち合って滅亡。そのころXは何をしていたか?Xは産業廃棄物でロボットを作っていたのである。ロボットを何台も作り、ロボットを作るロボットも作って地下には大量のロボットが社会を形成していた。大戦争の後、ロボットたちは地上に出た。今や地球を支配するロボットはXを自分たちの創造主として崇めた。ある年の感謝祭で祭壇のXにロボットたちが感謝の合唱を捧げるがXは終始無言。やがてXはエンジンを吹かせて空に昇り二度と地上には戻らなかった。
その他
公開:22/07/29 14:45

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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