Ⅲ.八章 根源悪ノ牧場 8/9

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「それは、さんきゅうが持ってた本だろ」
「ええ。これは一見、普通のファンタジー小説に見えますが、実はあなたに共感したとある作家が国の目を欺き、あなたの本の内容を巧みに含ませた作品なのです」
「俺の本を?」
「原書をご用意できずに申し訳ありません。あなたの書いた本は、出版後すぐに禁書と指定され、焚書が徹底された。政府の目を逃れ所持を続けた者には、不等な厳罰を処すこともあったそうですね」
「それほどにあなたの言葉を恐れたのです」
「戦争によって掲げた正義から、人々が目を覚まさないように」
「あなたの掲げた自由に、憧れないように」
「自由…」
 ハックがぽつりとその言葉を漏らす。
「何者にも縛られず」
「何物にも抑えられず」
「不信による攻勢ではなく、信頼による理解を、その身を持って証明してきた、ある旅ビトの記録」
「旅ビトの名は、ハックルベリー」
「旅ビトが記した本の名は」
「根源悪の牧場」
SF
公開:22/07/31 09:45
連載 SF 戦争 差別

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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